2012年1月15日 (日)

第23回 『新少林寺』 めちゃくちゃなアクションで押し通してほしい

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仕事絡みでとてもハードなワン・ビン監督の『無言歌』(10)を見た後だけに、中国の歴史を描くにもさまざまなスタンスがあることをあらためて感じさせられたよ。

妻:cat
『無言歌』暗かったね、でも歴史を学ぶにはそれを描いた映画をみると手っとり早いというか、わかりやすいよね。

夫:eye
この映画は『孫文の義士団』(10)同様、馬車を追跡するアクションなどに西部劇的な要素も盛り込まれていたので、前半は見ていて楽しかったな。
ただ後半は、アンディ・ラウ扮する主人公が改心する姿を中心に描いて、説教くさくなるところがいただけないね。
これは以前の『少林寺』(82)のような、単純なアクションだけでは世界市場が狙えないと考えるからだろうけど、ちょっと違う気がするなあ。
やっぱりこの手の中国映画はめちゃくちゃなアクションで押し通してほしいよ。

妻:cat
そうそう、少林寺拳法で暴れまわる修業僧、ジェット・リー(当時はリー・リンチェイ)の『少林寺』がよかったわー。
でもこの映画をみて少林寺のつらい歴史がわかったことは収穫かな。

夫:eye
またも日用品(中華鍋)を武器に変える炊事係のジャッキー・チェンがまさに“おいしい役”だったね。

妻:cat
『刑事物語』の武田鉄矢のハンガーアクションみたいだったね。

夫:eye
とすると、あれはジャッキーのまねだから今回は本家帰りってことになるのかな。

2011.10.5.

第22回『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』 最大の魅力は富山のローカル線の描写

Rail_4夫:eye
三浦友和は、自分よりも少し年上だけど、思えば百恵友和コンビの第一作で映画デビュー作の『伊豆の踊子』(74)からリアルタイムで見ている俳優なんだね。
その彼が定年間際の男を演じたことで「こういう役をやる年になったのか…」と時代の流れを感じて感慨深かったよ。

妻:cat
百恵友和シリーズ、懐かしいわね。
当時は中学生で『伊豆の踊子』なんかは立ち見でみたわ。
私も若かったなぁ~。
この映画は、老年に差しかかろうとするごく一般的な中年夫婦の心の機微を描いていて、その年代の人たちには好評だったようね。
私の知り合いは、「うちの夫婦のことがなんでこんなにわかるの」って。

夫:eye
ただ、全体的には人物描写が上滑りだったね。
特に余貴美子演じる妻が、『クレイマー、クレイマー』(79)のメリル・ストリープのような女の身勝手さを感じさせて、なんだか後味が悪かったなあ。

妻:cat
そうかしら。
奥さんの気持ちがとてもよくわかるといった意見も多かったみたいだけど…
ちなみに私は、この夫婦のどちらの側にも感情移入ができなかったわ。
なぜだか考えてみたんだけど、「夫婦のどちらもぜいたくな悩み」の話で私には程遠い感覚に思えたからかしら。
子供にも恵まれて、経済的にも問題のない悠々自適の老後が待っているのに、その上何を望んでいるのか、まあ、”その上の”っていうのが現代の私たちの悩みの元なんだけどね。

夫:eye
まあ、この映画の最大の魅力は、鉄道ファンにはたまらない富山のローカル線の描写やそれを囲む美しい風景だね。

2011.9.28.

2011年11月13日 (日)

第21回『悪名』シリーズ 勝新のパワー全開

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日本映画専門チャンネルが、江波杏子の『女賭博師』シリーズに続いて勝新の『悪名』シリーズの放映を始めたね。
田中徳三、森一生ら大映の職人監督たちが撮ったシリーズだからワンパターンでも面白い。

cat
またまたどれがどれだか訳がわからなくなるシリーズものですな。
まあ、細かいことはおいといて、面白ければいいか。

eye
見ながらあらためて、勝新はいい役者だなあと思ったよ。
パワー全開。こんな役者は今時いないよな。

cat
いいね、勝新。
負けず劣らず田宮二郎もいいよ~

eye
勝新と言えば俺は『座頭市』よりもこの『悪名』の朝吉や『兵隊やくざ』の大宮の方が好きなんだけど。
田宮二郎、田村高廣、天知茂…、勝新は一人の時よりも誰かと絡んでる方がいい味が出るね。

cat
そう言われればそうね。
私は『座頭市』の勝新しか知らなかったからこの『悪名』は新鮮だったわ。
あの独特のファッションと存在感は勝新ならでは。
それに、戦後のどさくさの雰囲気はちょっと悲しくて、だけど力強くて好きだなあ。

eye
『兵隊やくざ』シリーズも放映されるみたいだから楽しみだわ。

第20回 『猿の惑星 創世記』 手作り感とリアル感のどちらがいいのか…

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最初の『猿の惑星』が作られたのは68年。以降、『続・猿の惑星』『新・猿の惑星』『猿の惑星・征服』『最後の猿の惑星』と全部で5作が作られたけど、結局はぐるぐる回って元に戻るという時間の円環が描かれていたっけ。
ティム・バートン版は番外編になるのかな。

cat
シリーズものの映画ですな。
”続”とか”新”とか”パート1”とか”2”とかあると、何がどの話だったかわからなくなります。
しかもシリーズの新しいもののほうが、オリジナルストーリーの起源というか、より過去の時代の話になってたりするので混乱しますわ。

eye
今回の新作は、オリジナル版との直接的なつながりはないけど、なぜ猿が人間に対して反乱を起こしたのかを描いている点では『猿の惑星・征服』に近いのかな。

cat
私は『猿の惑星・征服』はみていませんので何とも…
というか、みていてもすっかり忘れてるほうが多いので。

eye
昔は人間に猿の特殊メークを施したことが話題になったけど、今回はCGだからよりリアルな感じがしたね。
昔の方が人間味があって良かったという声もあるみたいだけど…。

cat
確かに昔のはジーラもコーネリアスも愛嬌があったよね。
理屈でいうと、今回のCGはシーザー役の人間の役者さんの動きをもとにしているらしいから、より人間らしい動きが表現できそうに思うのだけど、人間に猿のマスクを付ける特殊メークのほうが“人間味”があっていいって感覚は面白いね。それは”手づくり感”が人間臭いというか、どこまでもリアルな猿の造形を追究する人間の情熱そのものに人間味があるってことなのかしらね。

eye
猿(シーザー)たちが蜂起するまでに、人間のひどさがさんざん描かれていたから、いつの間にかシーザーに同情させられている。このへんの描き方はうまいと思ったな。
これは、キューブリックの『スパルタカス』における奴隷たちの描き方と似ていると思った。

cat
「アイム・スパルタカス!アイム・スパルタカス!アイム・スパルタカス!…」って奴隷のみんなが叫ぶシーンがあったね。

eye
つまり、あの映画でカーク・ダグラスが演じた奴隷のリーダー・スパルタカスがこの映画のシーザーに当たるわけ。

cat
この映画が『スパルタカス』を意識してたってこと?

eye
ルパート・ワイアット監督自身が「意識した」と語っている記事がキネマ旬報に載っていたよ。

eye
今回は、寿命まで操作する人間のごう慢さや薬害など、社会派的な一面もあったけど、全体としてはエンターテインメントに徹しているところが良かった。
ウイルスがまん延していく様を、地図上のフライトプランで見せるラストも面白かったなあ。

cat
それはわかりやすくてよかったけど、最後に飼い主のウィルが、森に去っていくシーザー達をみて「これでよかったんだ」的な表情をしたのには思わず苦笑してしまったわ。
こんな大騒動起こしといて、そんなさわやかな笑みでいいの?って。

2011年10月9日 MOVIX亀有

2011年10月29日 (土)

第19回 『カウボーイ&エイリアン』 夫&妻で意見が真っ二つ

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みてきましたよ、『カウボーイ&エイリアン』。
あなたは試写でみて「あんなの西部劇じゃない」ってがっかり&酷評してたけど、いやー、おもしろかったわ、私にとってはど真ん中の直球でストライクという感じ。
ストーリーの破綻具合が絶妙。
さらに映像でも楽しめました。

eye
まいったな。べた褒めだね。
別に「まじめに西部劇を作れ!」と思ったんじゃなくて、白人対先住民の闘いがいろんな意味で描けなくなったから、代わりにグロテスクなエイリアンを出してきて、これならいくら殺してもいいという発想があまりにも単純かつ貧弱だなと思ったのさ。

cat
ダニエル・クレイグが「西部劇」?と思ったけど、この映画ではその違和感がかえっていいね。
乗馬姿なんかもキマリすぎて浮いちゃうんだけど、彼はイギリス人だから乗馬も英国風なのかな?

eye
ダニエル・クレイグは、見た目がスティーブ・マックィーンにちょっと似ているんだけど、俺なんかは西部劇ということもあって、どうしてもマックィーンと重ねて見ちゃったから、今回は、ダニエルが本来持っている良さがあまり感じられなかった。
そう言えば、ヒュー・ジャックマンも一時クリント・イーストウッドをすごく意識していたよね。

cat
荒野・馬・銃撃・アクション・西部の街・お尋ね者・ゴールドラッシュ・先住民・エイリアン退治・記憶喪失・異星人・ちょっとしたラブロマンスetc…
おもしろい要素をてんこ盛り、どんどん盛りすぎて悪趣味になっちゃった観光地の海鮮丼みたいです。
でもそんなものを見た時って思わず笑っちゃう、みたいな面白さ、とでも申しましょうか。

eye
原作はグラフィックノベルらしいけど、ゲーム的な要素が強いと感じたなあ。後はエイリアンのワンパターンの造型もなんとかならないものかと思ったよ。

cat
何といってもダニエル・クレイグの腕とお尻の形が良いですわ。

eye
『スーパー8』もそうだけど、スピルバーグはプロデュース作にもっと責任を持つべきではないのかな。

2011年10月27日 (木)

第18回『シマロン』 西部劇というよりも大河ドラマ

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監督はジェームス・スチュワートと組んで西部劇の佳作を何本も残したアンソニー・マン。

cat
ええっとー、『ウインチェスター銃'73』や『怒りの河』なんかの監督ですね。

eye
当たり。ほかに『裸の拍車』や『ララミーから来た男』もあるね。
だけど、この映画は原作が『ジャイアンツ』のエドナ・ファーバーだから、西部劇というよりも西部開拓時代の末期から第一次大戦までのアメリカの近代史が背景の大河ドラマと言った方がいいのかな。
石油の産出がアメリカを変えたというところも『ジャイアンツ』と同じだね。

cat
石油成金のジェームス・ディーン…
憧れの人妻エリザベス・テイラーを紅茶でもてなすところがいじらしかったー。

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ちなみに、この映画で石油成金(アーサー・オコンネル)の奥さんを演じたマーセデス・マッケンブリッジはジャイアンツ』ではベネディクト(ロック・ハドソン)の強気な姉を演じていた。
彼女がジェット・リンク(ジェームス・ディーン)にやった土地から石油が出るわけで、言ってみればこれも石油つながりの共通点かな。

土地獲得をめぐるランドレースの様子は、最近ではロン・ハワード監督、トム・クルーズ主演の『遥かなる大地へ』でも描かれていたけど、いかにもアメリカ的な発想だよね。

cat
早い者勝ちで土地が手に入るなんてすごい時代ね。

eye
グレン・フォード演じる主人公のシマロンは、正義感が強くていいやつなんだけど、結局自分では何事もなさないってところが面白いね。
妻のセイブラ役のマリア・シェルは、『居酒屋』『女の一生』などで“文芸映画の女王”と言われた人だけど、この映画も後半は彼女の“女の一代記”みたいになっていたなあ。

cat
奥さん(セイブラ)が根性あるのなんのって。
『夫婦善哉』の淡島千景、『細うで繁盛記』の新珠三千代を思い出しました。

eye
「おばはん 頼りにしてまっせ」だな。
ちなみにこの『シマロン』はリメーク版で、オリジナルはアカデミー賞で作品賞を受賞しているんだよ。

cat
そうなんだ。
てことは、このリメイク版が1960年くらいだから、オリジナル版は相当古いってことなのね。

eye
そう。1931年だよ。ちとうんちくを傾ければ、西部劇でアカデミー賞の作品賞を受賞したのはオリジナルの『シマロン』とケビン・コスナーの『ダンス・ウィズ・ウルブズ』だけなんですね。

cat
勉強になります。

2011年9月19日 NHK BS

2011年10月18日 (火)

第17回『リターナー』 見た目より薄味ですね

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タイムトリップものが好きな知り合いから「山崎貴もこのころはまだ頑張っていた」と聞いたので見てみたんだよね。

cat
むつかしいことはよく分かりませんが、監督さんのことね。

eye
全体的には無国籍な香港アクションの雰囲気で主演は金城武。
未来から来た相棒役が鈴木杏。
この場合、金城の日本語が下手なのがかえって良かったのかな。
岸谷五朗が『レオン』のゲーリー・オールドマン的な悪役を楽しそうに演じていたね。

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金城、鈴木、岸谷の三者が熱演すれどもすれども薄ーい感じ。
でもその薄さがこの漫画チックな映画によく合っていました。

eye
まあ、『ターミネーター』+『E.T.』のものまねと言われても仕方がないかな。
ちょっと雑な作りが目立つという感じがしたなあ。
ラストにタイムトリップものらしいひとひねりはあるんだけどね。

cat
ラストシーンの軽さが気に入りません。

2011年9月18日 DVD

第16回『ビバリーヒルズ・チワワ』 白犬は”おとうさん” 

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この映画、前からみてみたかったのよん。

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ソフトバンクの白犬も真っ青の“お犬さま映画”。
というか、ハリウッドには昔からリンチンチンやラッシーみたいな名犬がいたんだけどね。
特にディズニーは『三匹荒野を行く』とか『シャム猫FBIニャンタッチャブル』みたいな動物映画を作ってきた。

cat
ニャンタッチャブル、おもしろかったね。
『キャッツ&ドッグス』っていうのもあったよ。
動物版スパイ大作戦、あるいは007シリーズのテイストで、犬猫がかわいかったわ。
あれはワーナー?

eye
あれはワーナーだけど、この映画はディズニーの伝統技の継承なのかな。
何にせよ犬にここまで演技をさせるアニマルトレーナーに脱帽するわ。
明らかにメキシコの観客層を狙った作りだったけど、チワワのルーツも分かってなかなか楽しめたよ。

cat
動物ものはコメディが一番。
シリアスなものは”はい、ここで泣いてくださいねー!”といわんばかりの演出がハナにつきますわ。

2011年9月18日 DVD

第15回『舞妓Haaaan!!!』 舞妓フェチ男が主人公のハチャメチャ映画

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京都や舞妓に関するガイド的な面白さはあるけど、主人公の妄想や漫画的でめちゃくちゃな展開を心底楽しめる人は少ないと思うな。

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若い人たちはにはウケるのかしらね。

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この映画の脚本を書いたクドカンや三谷幸喜は、やっぱり舞台の人で映画向きではないと感じたよ。
くどいし、映画のテンポじゃないんだよななあ。

cat
たたみかけるようなセリフはお芝居のようだし、でも時々スローの映像が入ったりして…

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これが遺作となった植木等から伊東四朗、阿部サダヲへと喜劇人の継承をしたかったのかな。

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むつかしいことはわかりませんが、私は数年前に京都で舞妓さんの完全コピーのコスプレをして写真撮影したことがあります。
舞妓LOVE。

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俺は舞妓フェチじゃないよー

2011年9月18日 チャンネルNECOにて

第14回『のんちゃんのり弁』 下町っていいよね、ってことで

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墨田区の下町人情キラキラ橘商店街がロケ地ということで、ちょっと気になっていた映画。

感情移入するのが難しい、わがままなヒロインを小西真奈美が演じていたけど、見ていて腹が立つというよりも、なんだか親のような気持ちで見てしまった。これって年のせいなのかなあ。

cat
”感情移入するのが難しい”って…あなたは中年のおじさんなんだからもともと感情移入はできないの!
私は、ヒロインの小西真奈美をわがままな娘だとは思わないわ。
正直で一生懸命な娘よ。

eye
はいはい。料理屋の親方を演じた岸部一徳はもうけ役だったけど、全体的には登場人物の掘り下げ方がいまひとつという感じがしたなあ。

cat
そうかなあ、私はそれぞれの登場人物のキャラクターがわかりやすくて調和してると思ったわよ。

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ただ、下町を舞台にすると、映っている風景の力が大きいのだけど、世田谷なんかを舞台にしたものとは明らかに違った味わいになることは確かだね。

cat
そうね、下町と称される場所は何とも言えない味があるよね。
キラキラ橘商店街は行ったことがある場所だから親近感も相まってなおさらだったね。

2011年9月17日 チャンネルNECOにて

«第13回『レールズ&タイズ』 クリント・イーストウッドの娘のアリソンの初監督作。